妹尾 榮聖(せのう えいしょう) 1971年生。

調理師、営業、整骨院、栄養学の講師、貿易商などの職業を経て、
現在はコンサル会社と広告代理店、通販会社を経営する。

飛び込み営業を皮切りに、テレアポ、ルートセールスと様々な営業を経験するが、
どの会社でもトップレベルの実績を叩き出す。

営業と、貿易の交渉を通して培った独自の視点で、人間の心の動きを軸にしたマーケティング理論を構築し、 誰にでも理解でき、実践できて、結果を出せるマーケッターとして、 小売業から営業会社まで幅広い業種で売上アップのアドバイスを行っている。

これまでにアドバイスしてきた営業や小売の企業は1000を超える。

また、ユニークな分析と、分りやすい切り口でのマーケティングの説明には定評があり、
株式会社船井総合研究所を始め、全国各地で営業と販売に関する法人向けセミナーの講師を務めている。

現在も自ら営業を行い、その結果をセミナーやコンサルにフィードバックし続けている現場実践主義でもある





INTERVEW

Q:今まで、色んな職業を経験されてこられたんですね。

A:そうですね。18歳のとき四国から大阪に出てきて、一番最初に働いたのはフグ割烹の料理屋さんでした。

20歳くらいまで調理の世界にいて、そこから営業とかビジネスの世界に足を踏み込んだかな。

たくさんの職業を経験したことは、今の自分にとってプラスになっていると思いますけど、職業を色々変わってきたのは、あまり自慢できる事ではないですよね(笑)



Q:営業マン時代は、トップレベルの実績ということですが、トップセールスマンだったのですか?

A:いくつかの会社で営業の仕事をやってきましたけど、正直、トップセールスマンではありませんでした。

会社によって、月間とか週間で営業コンテストとかあるじゃないですか。

そういう短期ではトップになったことはありますけど、年間を通じてとかになるとナンバーワンにはなれませんでしたよね。
だからトップセールスマンではなかったと思っています(笑)。

ただ、常にベストテンとかには入っていましたし、営業コンテストでは必ず賞をもらっていましたから、常にトップレベルだったってのは間違いないと思います。



Q:営業でトップレベルの実績を出し続けるなんてすごいことですよね。

A:よく、そう言われるのですが、自分自身は、すごいと思っていません。

一般的に営業でトップレベルの実績を出す人って、「すごい」ってイメージがあるじゃないですか。
例えば、知識や話題性が豊富で話すのが上手だとか、魅力がある人間性を持っているとか、粘りや押しが強いとか。そういうすごい力を持っている人が、売れる営業マンだってイメージ持っていますよね。

でも、僕はほとんどそういうものは持ってなかったんです。

当時は、どちらかというと、人見知りが強くって、初めて会う人にはあんまり上手に話せない、営業には向いていない性格だったんですね。
だから、何処に行っても、しどろもどろで説明してましたし、話題も貧弱だし、人間としての魅力も無かったと思いますよ。

教材を販売している頃なんか、その会社の営業マントークの販売マニュアルに、『クロージングのとき、土下座をして両親に、「子供さんのことは私に任せてください」ってお願いしなさい』って書いてあったんですが、これにはビックリしました! 

そんなこと販売マニュアルを渡されても人前で話すのすら慣れていない僕にはできるはずもない(笑)。
いわゆる『押し』もぜんぜん出来ない営業マンだったわけです。



Q:そんな営業マンだったのに実績を出せたんですか?

A:ええ、そうなんです。不思議でしょ?
でも、今思うと、逆に、そんな性格だったからこそ実績が出せるようになれたと思っています。

当時、周りのトップセールスマンを見ると、やっぱりすごい人が多かったんですよ。「そりゃ、この人なら売れるよね」って感じの人がね。
そういうトップセールスには、お客様に切り込んでいくのが、とにかく巧い。ボクシングで言えば、相手の懐にどんどん入っていくインファイタータイプって感じかな。

そういうトップセールマンが持っているスキルや押しの強さと比べると、自分とあまりにもギャップがあって、とてもじゃないけど、自分には、そのまま同じことは出来ないって実感させられたんです。


ただ、負けず嫌いなところはあるので、営業で実績は出したいってずっと思っていましたね。

色々考えたんですが、たどり着いた答えは、ものすごく単純で、「インファイターがダメなら、アウトボクサーになろう!」だったんです。(笑)


つまり、営業に行った時に、うまく話ができなくって、なかなか受け入れてもらえないんだったら、お会いした時にはすでに受け入れてもらっている状態にすればいいって思ったんです。
お客様に売り込むのが出来ないのなら、お客様から「売ってちょうだい」って言われるようにすればいいんだ…ってね。



戦国時代なんかの歴史小説なんかを読んでも、下準備をしっかりして、勝てる理由をしっかり作ってから戦争をするって話がよくあるじゃないですか。

信長とか秀吉が良い例なんですけど、ほとんどの戦(いくさ)で、戦をする前に勝てる原因をしっかりと作っているわけです。だから、戦が始まったときにはほぼ勝つことが決まっているんですよね。

戦と商売を一緒にするのには、好きじゃないんですが、この『下準備をしっかり行う』という部分に関しては一緒だと思ったんです。

お客様が自分を受け入れてくれたり、購入したくなる充分な下準備をする。つまり、「お客様が購入する理由」をきちんと作っておけば、持っているスキルに関係なく販売はできると考えたんですね。


そして、スキルを磨くよりも、お客さまが喜んで買ってくれる理由を作っていくことに一生懸命になったんです。
そうすると、面白いように買ってくれるようになったので、「これだ!」って確信を持ったんです。


Q:本当にそんなことで、営業ができるんですか?

A:もちろんです。僕でも出来たんですから(笑)。

これは心理学や、行動心理学でも、証明されていることですが、人間は、ある一定の心理過程を経た後、行動を起こします。
例えば、商品を購入するという行動を起こすときも、ある決まった一定パターンの心理状態を通過するわけです。

このパターンに沿って、「欲しくなる理由」や「購入する理由」を心理過程の中に作っていってあげれば、より行動を起こさせやすく出来る。
つまり、売れるように出来るわけです。


Q:なんか、少し難しそうですね。行動心理学という言葉が出てきましたが、心理学とかをどこかで勉強されたんですか?

A:いえいえ、本格的には勉強していません。(苦笑)

少しは本を読んだこともありますが、ほとんどは現場で成功や失敗の経験を繰り返してきて、「こういうときには、こういう心理になるんだ」って、掴んできたって感じかな。
でも時々、心理学の本を読んでいると、「自分の思っていたことと一緒の事が書いてある!」って感じで、妙に感心することがありますね。


Q:話は少し変わりますが、企業などへ行って営業するのと、店頭で個人を相手に販売するのでは違うんじゃないですか?

A:そんなことは無いですよ。先ほども言いましたけど、人間が商品に対する欲求が高まり、購入するという行動を起こすときには、ある一定パターンの決まった心理過程を通過します。

これは、営業先でも店頭でも、もっと言えば通販でも同じなんです。

もちろん、商売やビジネスの型式によって応用する必要はあるでしょうが、どんな商品でもサービスでも購入するときの心理過程は同じなんだから、販売をすることは可能です。

実際、これは私の経験ですが、営業マン時代に培った方法と同じことを、小売や通販で試してみましたが、きちんと結果を出すことが出来ました。
それ以外にも、整骨院で治療をしていた頃は、人気の先生になることが出来ましたし、貿易で海外の人を相手に交渉をしている頃も、同様に結果を出すことが出来たんですね。

それにアドバイスをしている企業や商店で結果が出ているのを見ても、どんなビジネスにも応用することはできるのは間違いないと言って良いと思います。



Q:最後になりますが、誰でも売上が上がるようになるとお考えですか?

A:う〜ん…、難しい質問ですね。

基本的には、誰でもできるとは思っています。
でも、当たり前の事ですが、実践しない人は無理ですよね。
それと実践するとしても、売れる方法を聞いて、単純にその方法だけを真似する人も、難しいと思っています。

例えば、少し前に「絵手紙で売上を上げる」ってのが流行りましたよね。
書店にも、絵手紙で売上を上げた方の本や、絵手紙の書き方の本なんかが並んだので、覚えている方も多いと思います。

こういう情報を聞いて、「絵手紙を出せば売上が上がるんだ」って単純に考える人は、正直、難しいんじゃないでしょうか。
実際、あの頃、絵手紙を出したんだけど、売上を作り出せなかった人って多いと思うのです。そして、絵手紙を出すのを止めてしまう。こういうタイプの人はなかなか難しいですよね。

絵手紙で売上を上げた人の情報を聞いたら、「この人は、何故、絵手紙で売上を上げることが出来たんだろう?」って考えることが大切だと思うのです。
その人の取扱商品、顧客層、ビジネスモデルなんかを見て、何故、絵手紙が売上作りに繋がったのかを考えるのですね。

絵手紙で売上を作り出した人がいるってことは、それが「お客様が購入する理由」のひとつになったってことです。それには間違いは無い。
じゃぁ、何故、絵手紙が「お客様が購入する理由」になったのかを考えて、それが分ればどんな商売やビジネスに応用する事ができるようになるわけです。
絵手紙で売上を作り出した人にとっては「絵手紙」が最適な実践方法だったかもしれないけど、自分のビジネスでは「ファクス」かもしれないし、「メール」かもしれない。そのところに注意をしないといけないですよね。
だって、取扱商品も、顧客層も、ビジネスモデルも違うのですから、単純にそのまま真似しても結果が出ない。いや、そのまま真似してるだけで、結果が出る方が不思議なんです。

だからこそ、自分のビジネスをしっかり「考える」ことは大切ですよね。
それから、先ほども言いましたけど「実践する」こと。
そして、すぐには結果が出ないことだってありますから、「継続する」こと。

継続するというと、苦手意識を持っている人も多いと思うんですけど、難しい事をしようとするから続かないんです。
無理なく継続できる方法を選んで実践するという意識を持てば、意外と簡単に継続する事はできるんですね。

「考える」「実践する」「継続する」の3つができる人なら、誰でも販売できて、売上を作れるようになると思っています。
というより、今まで様々な人を見てきましたけど、この3つが出来る人は、誰にでもできる販売の正しい方法さえ知れば、絶対に売上を作れるようになっていますからね。


Q:本日は、ありがとうございました。最後に、このインタビューを読んでいる方に一言お願いします。

A:商品やサービスを販売することって「難しいことだ」というイメージを持たれている方が多いんですけど、そんなに恐れる必要はないと思います。

難しいと感じたり、恐れる気持ちは、知識や経験の不足によって生み出される感情です。

誰しも、すでに出来ることや、知っていることには、難しいとも怖いとも思いませんからね。

逆に言えば、しっかりとした知識を持てば、そういった感情から開放されるようになります。


そのためには、販売を感覚や勘、それにこれまでの習慣で行うのではなく、しっかりとした知識を身につけること。
そうすれば、結果を出すことが出来るし、商いをすることが、もっともっと楽しくできると思います。  頑張りましょう。


本日は、ありがとうございました